事業再構築補助金 指針の発表を受けて(ハードルがかなり高めに)

赤坂行政書士事務所 代表の後藤理枝と申します。

昨日、事業再構築補助金の指針が発表されましたが、以前発表されていたパンフレットと比べると、かなりハードルが上がっているように感じられます。

(引用元 経産省 指針は こちら です。指針の手引きは こちら です)

以下、簡単に説明していきます。

事業再構築指針について

事業再構築補助金の支援の対象を明確化するため、「事業再構築」の定義等について、明らかにしたものです。
①「事業再構築」とは、「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」又は「事業再編」の5つを指し、本事業に申請するためには、これら5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を認定支援機関と策定することが必要となります。
②指針では、これに加え、中小企業卒業枠及び中堅企業グローバルV字回復枠の要件についても定めています。

①の定義について記載していきたいと思います。

①新分野展開

「新分野展開」とは主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品等を製造等し、新たな市場に進出することを指します。
該当するためには、「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高10%要件」の3つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。

製品等の新規性要件

製品等の新規性要件を満たすためには、

①過去に製造等した実績がないこと、

②主要な設備を変更すること、

③競合他社の多くが既に製造等している製品等ではないこと

④定量的に性能又は効能が異なること(計測できる場合)

の4つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。

※「新規性」とは、事業再構築に取り組む中小企業等自身にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではありません。

市場の新規性要件

市場の新規性要件を満たすためには、

既存製品等と新製品等の代替性が低いことを事業計画において示す必要があります。

また、加えて、②既存製品等と新製品等の顧客層が異なることを事業計画において示す場合には、審査において、より高い評価を受けることができる場合があります。

②事業転換

「事業転換」とは新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することを指します。
該当するためには、「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高構成比要件」の3つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。

③業種転換

「業種転換」とは新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することを指します。
該当するためには、「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高構成比要件」の3つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。

④業態転換

「業態転換」とは製品等の製造方法等を相当程度変更することを指します。
該当するためには、「製造方法等の新規性要件」、「製品の新規性要件」(製造方法の変更の場合)又は「設備撤去等又はデジタル活用要件」 (提供方法の変更の場合)、「売上高10%要件」の3つを全てを満たす(=事業計画において示す)必要があります。

⑤事業再編

「事業再編」とは会社法上の組織再編行為等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うことを指します。
該当するためには、組織再編要件、その他の事業再構築要件の2つをどちらも満たす(=事業計画において示す)必要があります。

指針に詳細の例が記載されております。(事業再構築に該当しない例もでております)

上記の5つの類型の中で、①~③は、新製品を新市場へ投入することを求めています。(これは、アンゾフの成長マトリックスという、経営戦略を立案する上での有名なフレームワークでいうところの「多角化」に該当します。多角化は、自社でもやったことのない新しい製品を、自社でも開拓したことのない新しい市場に対して打ち出すというものであります。また、「新しいものを作る」であるがゆえに、リスクが高いと一般的には言われています。)

経営理論(一般的な)によると、事業再構築の指針が求めていることは、企業が成長を果たす戦略オプションの中で最もリスクが高いことであるわけです。

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