赤坂行政書士事務所 代表の後藤理枝と申します。今日は、「(コロナ渦における)相続の承認又は放棄」についてお話したいと思います。
親族が亡くなってしまった場合で、新型コロナウイルス感染症の影響により熟慮期間(相続の承認又は放棄をすべき期間)内に相続の承認又は放棄をすることができない場合、この期間を延長するため、家庭裁判所に申立てをすることができます。
まず、「相続放棄」「限定承認」「熟慮期間」と、見慣れない言葉がでてきたと思いますので、ひも解いていきたいと思います。
「相続放棄」
被相続人(亡くなったご本人)が亡くなると、その相続人は、被相続人の財産や債務を全て引き継ぐ(相続する)ことになります。ここで、注意して頂きたいのは、被相続人が借金等の債務を負っていた場合には、相続人は、その債務も引き継ぐことになるということです。
その場合、相続人が被相続人の借金等の債務を引き継ぎたくないとき、相続放棄(民法第938条)をすることにより、その債務を引き継がないことができます。ただし、相続放棄をすると、被相続人の債務だけでなく被相続人が有していた財産(土地や預貯金等の権利。要するにプラスの財産)も引き継がないことになります。
「限定承認」
被相続人の金銭事情がよく分かっていない(借金等がどの程度あるか不明。よくあるケースだと思います)場合で、財産が残る可能性もある場合等には、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務を引き継ぐことができ、これを限定承認(民法第922条)といいます。
「熟慮期間」
相続人が相続放棄や限定承認をする場合、原則として,「自己のために相続の開始があったこと(被相続人が亡くなったことと、それにより自分が相続人となったこと)を知った時」から3か月以内に家庭裁判所でその旨を申述しなければならないとされており(民法第915条第1項)この期間を熟慮期間といいます。
この熟慮期間(相続の承認又は、放棄をすべき期間)を延長するには、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをする必要があります。(申し立ては、必要書類を郵送ですることもできます)
もし、この熟慮期間の延長の申し立てをしないまま、期間が経過してしまった場合は、どうなるのでしょうか。
その場合は、 単純承認したとみなされてしまいます。つまり、被相続人の財産と借金等の債務を全て引き継ぐことになります。
ですので、相続人の方は、熟慮期間に注意して頂きたいと思います。
ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。